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フェラー、進行性核上性まひ(PSP)を対象とした第Ⅱ相臨床試験「PROSPER試験」で患者220名の登録を予定より2か月早く完了

  • FNP-223(経口製剤)の有効性、安全性および薬物動態を評価し、進行性核上性まひ(PSP)の進行抑制を目的とした無作為化二重盲検プラセボ対照第Ⅱ相臨床試験
  • 欧州連合、英国および米国の44拠点で実施
  • 本試験は、希少神経疾患の患者に変革的な治療ソリューションを届けるためのフェラーの研究開発への取り組みを裏づけるもの

スペイン・バルセロナ--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- スペインの国際製薬企業フェラーは、進行性核上性まひ(PSP)の進行抑制を目的に開発中のアセニューロンから導入した経口投与可能な強力かつ選択的なOGA酵素阻害剤「FNP-223」の有効性、安全性および薬物動態を評価する第Ⅱ相臨床試験「PROSPER試験」において、患者登録を完了したと発表しました1

進行性核上性まひ(PSP)は、まれで進行が速く、最終的には致死的となる神経変性疾患です2。現時点で、PSPに対して疾患修飾効果を持つ治療法は承認されていません。

PROSPER試験は無作為化二重盲検プラセボ対照試験3であり、PSP患者220名の登録をわずか14か月で完了し、10月6日に予定より2か月前倒しでこのマイルストーンを達成しました。 欧州連合、英国および米国の計44拠点が参加しています。試験デザインは、6週間のスクリーニング期間、FNP-223またはプラセボによる52週間の治療期間、そして治療終了後4週間のフォローアップ期間で構成されています3

本試験は、進行性核上性まひリチャードソン症候群(PSP-RS)の早期段階にある参加者に焦点を当てています。この段階は、早期介入によって疾患進行を最も効果的に抑えられる可能性がある重要な時期と考えられています。疾患の進行が速く、診断も複雑であることから、この段階で参加者を特定することは大きな課題であり、今回の患者登録目標を予定よりも早く達成したことは、より意義深い成果といえます。

ミュンヘンのルートヴィヒ・マクシミリアン大学に所属し、PROSPER試験の主任研究者兼コーディネーターを務めるギュンター・ヒュークリガー医学博士は、次のように述べています。「患者の皆さま、その介護者の方々、そして学術センターの献身的なチームの尽力に深く感謝申し上げます。皆さんの卓越した献身によって、私たちはこの重要なマイルストーンを迅速に達成することができました。私たちは今、重要な科学的課題、すなわちPSPにおけるOGA阻害の役割に対する答えに向けて大きく前進しています。私たちの共同の取り組みは、患者の生活を真に改善する解決策の開発へとつながっています。」

CurePSPの最高経営責任者(CEO)であるクリストフ・ディアス氏は、次のように述べています。「PSPの臨床試験で予定数の登録を完了することは決して容易ではありません。フェラーがPROSPER試験でこれを達成したことは、科学的にも人間的にも大きな節目といえます。この進展の背景には、希望を行動に変えることを選んだ患者とそのご家族がいます。彼らの参加が、PSPの有意義な治療法に向けて、この分野全体の進展を加速させています。私たちのコミュニティにとって、このような一歩一歩の積み重ねが、持続的な変化への道を切り開くのです。」

フェラーのチーフ・サイエンティフィック・オフィサー(CSO)であるオスカル・ペレスは、次のように述べています。「患者登録の早期完了は、PSPのような複雑かつ希少な疾患に対する臨床研究プログラムを加速させるというフェラーの取り組みにおける重要な一歩です。ビジネスを通じて社会的正義のために戦うという当社の目的に沿い、私たちは、この疾患に影響を受ける方々とその周囲の人々の生活を変革し得る解決策を届けることを目指しています。患者、家族、介護者、研究者、そして患者団体の皆さまの信頼とご支援に心から感謝申し上げます。皆さまの協力なくして、この成果は成し得ませんでした。」

フェラーは、臨床研究を参加者の実際のニーズにより即したものとすることを目的に、患者、介護者、そして医療従事者からの意見をPROSPER試験の設計に取り入れています。これにより、参加者の体験を向上させ、より有意義で影響力のある臨床研究の実現を目指しています。

フェラーの研究への取り組み

フェラーは、バルセロナに本社を置く国際企業であり、希少神経疾患や肺血管疾患、間質性肺疾患など、アンメットメディカルニーズの高い分野における革新的治療法の研究開発に力を注いでいます。同社は、複雑かつグローバルな臨床開発に注力し、研究のさまざまな段階にわたってプロジェクトを推進しています。

PROSPER試験のような研究を通じて、フェラーは、現在承認済み、または利用可能な治療法が存在しない重篤かつ希少な疾患に対して、変革的な解決策を開発することで社会に前向きな影響をもたらすという使命をさらに強化しています。

PSPについて

進行性核上性まひ(PSP)は、主に60歳以上の人に発症し、急速に進行して重度の障害を引き起こす、まれな神経変性疾患です。

PSPは一次性タウオパチーであり、運動や認知を制御する脳領域、特に皮質下領域や脳幹におけるタウたんぱく質の異常な蓄積によって引き起こされます4,5。この蓄積により神経細胞が損傷し、脳機能が障害され、平衡感覚の喪失、発話や嚥下の困難、眼球運動の異常、認知や気分の変化などの症状が現れます6

PSPはまれではありますが、人口10万人あたり5.8〜6.5人に影響を及ぼすとされ7、その影響は極めて大きいものです。診断後数年以内に自立を失うケースが多く7、平均余命は6〜9年とされています。遺伝性の症例はまれ8ですが、関連する遺伝子は10種類以上確認されており、その中でもMAPT遺伝子の変異が主なリスク要因とされています9。また、毒素や感染因子への曝露など、環境要因の関与についても研究が進められています7

フェラーについて

フェラーは、ビジネスを通じて社会的正義のために戦うことを使命としています。当社は長年にわたり、株主利益の最大化ではなく、利益の多くを社会に還元する取り組みに再投資してきました。それが、私たちのあるべき姿だと考えています。私たちは、法令遵守を超え、最高水準のサステナビリティ、倫理、そして誠実さに基づいて事業を展開しています。その結果、フェラーは世界で最も高い評価を受けているB Corp認定の製薬企業となっています。

1959年にバルセロナで設立されたフェラーは、生命を脅かす疾患に対して変革的な解決策を100か国以上で提供しています。当社はこの使命に基づき、肺血管疾患、間質性肺疾患、そして希少神経疾患への取り組みをさらに強化しています。1800名を超えるフェラーのチームは、「ビジネスは目的ではなく、人生を変える手段である」という明確な信念のもとに活動しています。

私たちはフェラー、より良い未来のためのフェラーです。
www.ferrer.com

参考文献:

  1. Permanne B、Sand A、Ousson S、Nény M、Hantson J、Schubert R、Wiessner C、Quattropani A、Beher D。O-GlcNAcase Inhibitor ASN90 is a Multimodal Drug Candidate for Tau and α-Synuclein Proteinopathies。ACS Chem Neurosci。2022年4月20日;13(8):1296-1314。doi:10.1021/acschemneuro.2c00057。Epub 2022年3月31日。PMID:35357812;PMCID:PMC9026285。
  2. Höglinger GUほか。Mov Disord。2017;32(6):853–864。Agarwal S、Gilbert R。Progressive Supranuclear Palsy。[更新日:2023年3月27日]。In:StatPearls[Internet]。Treasure Island(FL):StatPearls Publishing;2025年1月。入手先: www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK526098/(参照:2025年8月)。Boxer LBほか。Lancet Neurol。2017;16(7):552–563。
  3. ClinicalTrials.gov:A Randomized, Double-blind, Placebo-controlled, Phase 2 Study to Assess the Efficacy, Safety, and Pharmacokinetics of FNP-223 (Oral Formulation) to Slow the Disease Progression of Progressive Supranuclear Palsy (PSP) (PROSPER)。ClinicalTrials.gov[Internet]。入手先: https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT06355531。参照日:2025年10月1日。
  4. Murray ME、Kouri N、Lin WL、Jack CR Jr、Dickson DW、Vemuri P。Clinicopathologic assessment and imaging of tauopathies in neurodegenerative dementias。Alzheimers Res Ther。2014;6(1):1。doi:10.1186/alzrt231。
  5. Planche V、Mansencal B、Manjon JV、Meissner WG、Tourdias T、Coupé P。Staging of progressive supranuclear palsy-Richardson syndrome using MRI brain charts for the human lifespan。Brain Commun。2024;6(2):fcae055。doi:10.1093/braincomms/fcae055。
  6. アメリカ国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)[Internet]。Bethesda:アメリカ国立衛生研究所(NIH);開始日不明[最終更新日不明;2025年4月23日引用]。入手先:https://www.ninds.nih.gov/health-information/disorders/progressive-supranuclear-palsy-psp
  7. Agarwal S、Gilbert R。Progressive Supranuclear Palsy。StatPearls。Treasure Island(FL):StatPearls Publishing。
  8. Ichikawa-Escamilla E、Velasco-Martínez RA、Adalid-Peralta L。Progressive Supranuclear Palsy syndrome: an overview。IBRO Neurosci Rep。2024;16:598–608。doi:10.1016/j.ibneur.2024.04.008。
  9. Donker Kaat L、Boon AJ、Azmani A、Kamphorst W、Breteler MM、Anar Bほか。Familial aggregation of parkinsonism in progressive supranuclear palsy。Neurology。2009;73(2):98–105。doi:10.1212/WNL.0b013e3181a92bcc。

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