-

東芝:低オン抵抗と高信頼性を両立したショットキーバリアダイオード内蔵SiC MOSFETを開発

川崎--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- (ビジネスワイヤ) -- 東芝デバイス&ストレージ株式会社(以下、東芝デバイス&ストレージ)と株式会社東芝(以下、東芝)は、低オン抵抗と高信頼性を両立したSiC(炭化ケイ素) MOSFET注1を開発しました。内蔵されているショットキーバリアダイオード(SBD)の配置を市松模様配置に変更した新たなデバイス構造とすることで、高い信頼性を維持しながら当社従来製品と比較してオン抵抗注2(RonA)を約20%低減できることを確認しました注3

電力を供給、制御する役目を果たすパワー半導体は、あらゆる電気機器の省エネルギー化やカーボンニュートラルの実現に不可欠な半導体であり、自動車の電動化や産業機器の小型化などを背景に、今後も継続的な需要拡大が見込まれています。SiCは、従来のシリコンよりも高耐圧、低損失化が可能な次世代のパワー半導体材料として注目されていますが、SiC MOSFETは逆導通動作時にボディダイオードがバイポーラ通電すると、オン抵抗が劣化することが信頼性の課題となっています。東芝デバイス&ストレージでは、MOSFETチップ上にSBDを内蔵することで、ボディダイオードが動作しないよう対策したデバイス構造を採用しています。しかしながら、内蔵SBDがチップ面積の一部を占有することは、MOSFETのオン動作の抵抗を決めるチャネル領域の面積を減少させ、チップのオン抵抗の上昇に直結します。今回、飛躍的な特性改善を狙い、内蔵SBDの配置を変更することで、これらの相反する課題を解決するとともに、特性向上の効果を実証しました。

具体的には、SBD内蔵SiC MOSFETの導通損失低減とダイオード通電信頼性向上の両立を目的として、SBD配置を従来のストライプ配置から市松模様配置に変更した新たなデバイス構造を提案し、1.2 kV級耐圧素子試作による改善効果の確認を行いました。市松模様状に配置した内蔵SBDがボディダイオードに近接することで、効果的にボディダイオードのバイポーラ通電を抑制し、従来のストライプSBD配置と比較して同じSBD搭載面積でも2倍の電流範囲までユニポーラ動作の上限が向上しました。また、SBDストライプを廃止したことでチャネル密度が向上し、当社従来製品と比較して約20%低い2.7 mΩcm2の低オン抵抗を同時に実現しました。今回実証されたトレードオフ関係の改善は、特にモーター制御用インバーターでのSiC MOSFET使用において重要です。今後、動特性や信頼性の確認と並行して、さらなる特性改善に向けた検討を進めるとともに、ユーザーがより使いやすく、高性能なパワー半導体を提供することで、脱炭素社会の実現を目指します。

東芝デバイス&ストレージと東芝は、本技術の詳細を、12月3〜7日に米国サンフランシスコで開催されたパワー半導体の国際学会「68th Annual IEEE International Electron Devices Meeting」で発表しました。

注1 MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(金属酸化膜半導体電界効果トランジスター)の略で、トランジスターの構造の一種。
注2 オン抵抗:MOSFETが動作している時のドレイン・ソース間の抵抗値。
注3 2022年11月現在、当社調べ。

*社名・商品名・サービス名などは、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。
*本資料に掲載されている情報(製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

Contacts

お客様からの製品に関するお問い合わせ先:
お問い合わせ

報道関係の本資料に関するお問い合わせ先:
東芝デバイス&ストレージ株式会社
経営企画部 広報・予測調査担当 田中、三橋
Tel: 044-548-2122
Mail: tdsc-publicrelations@ml.toshiba.co.jp

Toshiba Electronic Devices & Storage Corporation



Contacts

お客様からの製品に関するお問い合わせ先:
お問い合わせ

報道関係の本資料に関するお問い合わせ先:
東芝デバイス&ストレージ株式会社
経営企画部 広報・予測調査担当 田中、三橋
Tel: 044-548-2122
Mail: tdsc-publicrelations@ml.toshiba.co.jp

More News From Toshiba Electronic Devices & Storage Corporation

東芝:産業用機器での安定した高速絶縁信号伝送に貢献する2チャネルのスタンダードデジタルアイソレーター発売について

川崎--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 東芝デバイス&ストレージ株式会社は、産業用機器向けに100kV/μs (typ.)[注1]の高いコモンモード過渡耐性 (高CMTI) による安定動作と、150Mbps (max)[注2]の高速データ伝送速度を実現した、ハイスピード2チャネルスタンダードデジタルアイソレーター「DCL52xx00シリーズ」4品種を製品化し、本日から出荷を開始します。 新製品は、順方向2チャネル構成の「DCL520C00」と「DCL520D00」、順方向1チャネル・逆方向1チャネル構成の「DCL521C00」と「DCL521D00」の4品種です。産業用機器向けスタンダードデジタルアイソレーターのラインアップは、先行リリースした4チャネル品「DCL54xx01シリーズ」に、2チャネルの新製品が加わりました。新製品の追加により、産業用機器向けスタンダードデジタルアイソレーターは、DCL54xx01シリーズ10品種を含む14品種のラインアップとなり、チャネル数の選択の幅が広がりました。これにより、設計の柔軟性に貢献します。 新製品DCL52xx...

東芝:産業機器の高効率化に貢献する、当社最新世代プロセス[注1]採用の100V耐圧NチャネルパワーMOSFET発売について

川崎--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 東芝デバイス&ストレージ株式会社は、データセンターや通信基地局などの産業機器用スイッチング電源向けに、当社最新世代プロセス[注1]「U-MOS11-H (ユー・モス・イレブン・エイチ)」を採用した、100V耐圧NチャネルパワーMOSFET「TPH2R70AR5」を製品化し、本日から出荷を開始します。 100V系U-MOS11-Hシリーズは、当社従来世代プロセスU-MOSX-Hシリーズ に対し、ドレイン・ソース間のオン抵抗 (RDS(ON)) ならびにゲート入力電荷量 (Qg) とそのトレードオフ (RDS(ON)×Qg) を改善し、導通時とスイッチング時の両方の電力損失を低減しています。 新製品のTPH2R70AR5は、U-MOSX-HシリーズのTPH3R10AQMに対し、RDS(ON)を約8%、Qgを約37%、RDS(ON)×Qgを約42%改善しています。 また、TPH2R70AR5はライフタイム制御技術[注2]の適用によりボディーダイオードを高速化することで、逆回復電荷量 (Qrr) およびスパイク電圧を低減しま...

【9/24-26】東芝Webセミナー「知ってるだけじゃ動かせない!ステッピングモーター制御術」開催のお知らせ

川崎--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 東芝デバイス&ストレージ株式会社は、9月24日(水)から26日(金)の3日間、「知ってるだけじゃ動かせない!ステッピングモーター制御術」 と題し、無料Webセミナー(ウェビナー)を開催します。 ステッピングモータードライバーの動かし方を「知っている」から「使いこなす」へ。 本セミナーでは、ステッピングモーターの動きの基本から、新世代のステッピングモータードライバーを使った実際の動作方法や制御のコツ、設計上の注意点まで、現場で役立つ内容を丁寧に解説します。 ※初回(9/24 10:00~)限定でリアルタイムでのQAを実施予定です。 【お申込みはこちら】 知ってるだけじゃ動かせない!ステッピングモーター制御術 - 申し込み | 東芝デバイス&ストレージ株式会社 【実施概要】 タイトル :知ってるだけじゃ動かせない!ステッピングモーター制御術 配信日時 :2025年9月24日(水)~26日(金) 各日10:00~/14:00~ (同内容・計6回開催) 主催 :東芝デバイス&ストレージ株式会社 参加費 :無料(事前登録制)...
Back to Newsroom