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欧州、ドイツで「Euro-Q-Exa」量子コンピューターを始動、デジタル主権を支える基盤を強化

  • Euro-Q-Exaは、ドイツおよび欧州にわたる科学コミュニティーと産業界に向け、欧州の高性能コンピューティング(HPC)エコシステムにおける実践的な量子研究およびアプリケーション開発を可能にする。
  • ライプニッツ・スーパーコンピューティング・センター(LRZ)にて設置・ホスト・運用され、現地での管理体制の確立、運用ノウハウの蓄積、長期的な能力構築を可能にする。
  • IQMクアンタム・コンピューターズが、Radianceプラットフォーム(機関が自らの量子能力を構築・運用・発展できる設計)を用いて開発。また、高性能コンピューティングとの高度な統合を前提に設計されており、スケーラブルな量子/HPCハイブリッドワークフローをサポートする。
  • 欧州高性能コンピューティング共同事業(EuroHPC Joint Undertaking)、ドイツ連邦研究・技術・宇宙省(BMFTR)およびバイエルン州科学・芸術省(StWK)が共同で資金を拠出。

ドイツ、ミュンヘン--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- ドイツで導入された初の欧州高性能コンピューティング共同事業(EuroHPC Joint Undertaking)の量子コンピューターである「Euro-Q-Exa」が、ミュンヘン近郊のガルヒングにあるライプニッツ・スーパーコンピューティング・センター(LRZ)で披露されました。

今回の導入は、世界をリードする高性能コンピューティング(HPC)と並び、欧州の主権型デジタル・インフラの一環として長期的な量子コンピューティング能力の構築を目指す取り組みにおける重要な一歩となります。

LRZにて設置・管理・運用されるEuro-Q-Exaは、単に量子コンピューティングへのアクセスを提供することを目的とするものではなく、欧州の研究者が欧州内で自らの量子コンピューティング能力を構築・運用・拡張できるよう設計されています。既存のHPC環境に同システムを統合することで、実践的な専門知識、運用ノウハウ、そして持続可能な研究基盤の構築を欧州内で支援します。

Euro-Q-Exaは、以下を通じて欧州の量子エコシステムを強化します。

  • 欧州域内での能力強化– 研究者がシステムを直接運用・保守・高度化することで、ブラックボックス的な遠隔アクセスに依存するのではなく、実践的な専門性を培います。
  • 欧州での知的財産(IP)の創出および保持– Euro-Q-Exa上で開発されたアルゴリズム、ワークフローおよびアプリケーションは欧州の研究機関内で保持され、科学的および産業分野における長期的な価値創出を支援します。
  • HPCと量子の緊密な統合– LRZのスーパーコンピューティング基盤との緊密な連携により、実運用を想定した量子/古典ハイブリッドワークフローを実現し、実験から応用への移行を加速します。
  • エコシステム連携– 大学、研究機関および産業界のパートナーが共通プラットフォーム上で協働し、ユースケースの検証、人材育成、そして相互運用性を備えたソリューションの開発を推進します。

本システムはIQMのRadianceプラットフォームを基盤とし、54量子ビットの超伝導方式を採用しています。Euro-Q-Exaは、150量子ビットを備えた、より高性能な第2のシステムが2026年末までに追加される予定であり、これにより欧州の実運用レベルの量子コンピューティング能力はさらに拡大します。

Euro-Q-ExaをLRZのスーパーコンピューティング環境に直接統合することで、欧州の研究者は、神経変性疾患研究、計算薬理学、気候モデリングなどの分野において、量子/HPCハイブリッドアプリケーションを開発・検証・拡張できます。このアプローチにより、量子技術は実運用の研究環境下で成熟することが可能となり、科学および産業分野での持続的な活用への移行が支援されます。

Euro-Q-Exaは、チェコ、フランス、イタリア、ポーランドおよびスペインでの導入とともに、欧州の最先端スーパーコンピューティング・センターに統合される6台の量子コンピューターのうちの1つであり、主権型デジタル・インフラに向けた欧州の連携した取り組みを強化します。

ヘンナ・ヴィルックネン欧州委員会執行副委員長(技術主権・安全保障・民主主義担当):「量子市場はまだ黎明期にありますが、欧州委員会はその形成に積極的に取り組んでいます。EuroHPCを通じ、加盟国と連携して、私たちはすでに欧州で最初の6つの量子システムを調達し、共同で資金を拠出しました。4つはすでに稼働しており、さらに2つが現在調達中です。これは、欧州が欧州域内で主権的な量子能力を構築するという強いコミットメントを明確に示すものです。ライプニッツ・スーパーコンピューティング・センターは、その野心が具体化した好例です。これは、量子イノベーションの最前線に立つIQMのような欧州の大手企業を、私たちがいかに効果的に支援し、事業拡大を後押しできるかを示しています。これらのシステムを欧州域内に確立することで、私たちは産業基盤を強化するとともに、戦略的技術が同域内で欧州のために開発・展開されることを確実にしています。新たなシステム、そして2027年初頭に予定されている大幅なアップグレードにより、私たちはすでに高度な量子計算を可能にしています。これは遠い将来の約束ではなく、実運用の現実です。」

マルクス・ブルーメ氏バイエルン州科学・芸術担当大臣):「ドイツで導入される初の欧州量子コンピューターがバイエルン州のライプニッツ・スーパーコンピューティング・センターに設置されるのは偶然ではなく、私たちの強固なハイテク・エコシステムの成果です。重要なのは、Euro-Q-Exaが単なる新しいコンピューターではないという点です。これは技術主権を体現し、私たち自身のデジタル・インフラを構築するという私たちの強い意志を示すものです。ガルヒングにあるドイツ最大の研究キャンパスは、欧州のアイデアが集う活気ある拠点です。私たちはここで、量子コンピューティング、スーパーコンピューティング、人工知能を融合し、計算技術の新たな可能性を切り開いています。こうした理由を背景に、私たちはAIギガファクトリーの誘致にも申請しています。本件のようなプロジェクトは、欧州のデジタル未来に向けてバイエルンが責任を担う準備ができていることを示しています。ガルヒングは、イノベーションを可能にし、私たちの技術基盤を強化する計算資源がここで生み出されているという、強いメッセージを発信しています。ここは、未来が構想されるだけでなく、実際に計算される場所でもあるのです。」

アンダース・ダム・イェンセン氏(欧州高性能コンピューティング共同事業エグゼクティブディレクター):「Euro-Q-Exaの稼働開始は、世界水準の欧州量子コンピューティング基盤に向けた私たちの歩みにおけるさらなるマイルストーンとなります。この新たな欧州高性能コンピューティング共同事業の量子システムは、研究者、産業界および公共部門に最先端の計算資源を提供するという私たちの強い意志を改めて示すものです。これにより、欧州全域におけるイノベーションと技術主権の強化が促進されます。」

ディーター・クランツミュラー教授(LRZ取締役会会長):「Euro-Q-Exaにより、私たちは量子コンピューティングとスーパーコンピューティングの強みを融合しています。これにより、研究者は新たなアプローチを検証し、画期的な計算を実行でき、欧州の技術を活用して科学研究の新たな可能性を切り拓くことが可能になります。LRZでは、今後の刺激的な研究プロジェクトとそこから得られる新たな知見に大きな期待を寄せています。」

ヤン・ゲーツ博士(IQMクアンタム・コンピューターズ最高経営責任者(CEO)):「クラウドへのアクセスだけでなく、オープンな量子インフラを自ら保有する国々が主導するでしょう。欧州はその実現に向け、域内運用システムの整備、新世代の教育、HPCとのハイブリッド統合、そして保有によって初めて培われる組織的専門性の確立に取り組んでいます。」

IQMクアンタム・コンピューターズについて

IQMは、超伝導量子コンピューター分野のグローバルリーダーです。同社は、オンプレミス型のフルスタック量子コンピューターに加え、同社のシステムへのアクセスを可能にするクラウド・プラットフォームも提供しています。IQMの顧客には、量子ハードウエアおよびソフトウエアへのフルアクセスを必要とする、主要な高性能コンピューティング・センター、研究所、大学、企業などが含まれています。本社をフィンランドに構えるIQMは300人以上の従業員を擁しており、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ポーランド、スペイン、シンガポール、韓国、米国など世界各国に拠点を展開しています。

ライプニッツ・スーパーコンピューティング・センター(LRZ)について

ライプニッツ・スーパーコンピューティング・センター(LRZ)は、60年以上にわたり欧州を代表する高性能コンピューティング・センターの1つとして、工学、ライフサイエンス、物理学およびデジタル人文学など幅広い分野の科学コミュニティーに高度なデジタル・インフラを提供しています。ミュンヘン近郊のガルヒングに所在するLRZは、国家規模および欧州規模のスーパーコンピューティング・システムを運用し、HPCアプリケーション開発、移植性およびスケーラビリティーに関する深い専門知識に基づきユーザーを支援しています。LRZは、量子コンピューティングを含む新興技術を統合することで、デジタル・インフラの未来を積極的に形成しています。

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