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トレンドフォース、フォードとホンダは北米の生産能力が関税の影響を緩和するも、米国での調達が共通の課題になると指摘

台湾、台北--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 4月2日、米国は正式に相互関税を導入しましたが、自動車業界全体が対象というわけではありません。トレンドフォースの最新の調査によると、米国は予定通り、輸入される乗用車と小型トラックに25%の追加関税を課しました。自動車部品にも、同じく25%の関税が5月3日までに施行される予定です。

米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)準拠の車両と部品については、「米国製」と分類されない部分にのみ25%の関税が課されます。その具体的な審査と実施の方法については、米国商務省と関税当局の正式な手続きを待っている状況です。全体として、車両であれ部品であれ、米国製品の有無が、この関税問題の中心です。

トレンドフォースは、米国市場に多くの収益機会を持つ自動車メーカーが、この政策の影響を最も強く受けるだろうと指摘しています。具体的な影響はメーカーごとに異なり、多面的に評価する必要がありますが、まずは現地組み立て比率に基づいて測定することができます。

米国で販売される全ブランドの中で、テスラのみが車両の100%を米国内で製造しています。フォードは約76%の車両を米国内で組み立てており、ホンダとステランティスはそれぞれ約60%、スバル、GM、トヨタはそれぞれ平均55%ほどです。比率が低い企業は、現代・起亜自動車、フォルクスワーゲン、マツダ、ボルボ・カーズで、これらの企業は米国内生産比率が40%未満であり、関税圧力を受けやすくなっています。

北米組み立て比率の低さは、より深刻な課題をもたらす

USMCAは自動車部品に特定の域内原産割合(RVC)を課すため、自動車メーカーの最終組み立てラインの立地に影響を与えています。米国、メキシコ、カナダで組み立てられた車両は、USMCAの要件を満たす可能性が最も高くなります。要件を満たす車両は、米国製以外の部品に対してのみ課税されることから、米国に輸入される車両の原産地は、関税の影響を予測する重要な指標となります。

トレンドフォースは、フォードとホンダについて、米国組み立て率が高く、主にメキシコとカナダから輸入していることの恩恵を受けると指摘しています。両社の短期的な焦点は、米国での生産をさらに拡大し、サプライチェーンで扱う米国製部品を最大限に増やすことです。

スバル、GM、トヨタはそれぞれ米国市場向け車両の約45%を輸入していますが、その調達先は大きく異なります。GMは主にメキシコから輸入し、トヨタはメキシコとカナダからの輸入の合計が日本からの輸入とほぼ同じです。スバルは日本からのみ輸入しており、特に関税の影響を受けやすい状況です。

現代・起亜、マツダ、ボルボ・カーズは米国での組み立て率が低く、主に韓国、日本、スウェーデンの海外工場に依存しており、メキシコやカナダでの生産は最小限です。これにより、関税の影響を受けやすくなっています。特に現代・起亜は、米国市場向けの車両の57%を韓国から輸出しており、これが同社の米国事業への投資を増加させる要因となっています。米国内生産への移行を加速させることが、関税の影響を緩和する鍵となります。

短期的に、自動車メーカーは、車両に使用する米国製部品を増やしつつ、すでに米国や海外で製造されているモデルを中心に、米国工場の生産能力を増強する見込みです。

トレンドフォースは、米国自動車市場において、関税をめぐる不確実性が2026~2027年まで続くと予測しています。関税がすでに施行されているものの、重要な実施の詳細については未解決のままであり、交渉が継続中です。規則の複雑さを考慮すると、メーカーが各モデルへの影響を評価し、対応戦略を策定するには時間がかかるでしょう。また、多くの車両・部品サプライヤーが、関税の影響を減らし、即時の値上がりを遅らせるべく、ここ数か月で米国への在庫の輸送を急いでいます。

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