-

熊谷組の定時株主総会に関する声明

オアシスは株主還元の改善と、取締役会長及び二人の取締役の再任議案への反対を投票を求めます。

(証券コード:1861 JT)

* オアシスは来る第87期定時株主総会において1株当たり160円の配当を提案

* オアシスは、櫻野泰則取締役会長、住友林業出身の佐藤健取締役、指名・報酬諮問委員会委員長の岡田茂社外取締役の再任議案への反対を推奨

香港--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッド(以下「オアシス」)は、国内ゼネコンである、株式会社熊谷組(以下「熊谷組」または「同社」)(証券コード:1861 JT)の株式を10%以上保有するファンドの運用会社です。オアシスは「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》を遵守しており、この原則に沿ってオアシスは投資先企業のモニタリングとエンゲージメントを行っています。

熊谷組の長期株主であるオアシスは、熊谷組の株主の皆様に対し、来る第87期定時株主総会にてオアシスの株主提案に賛成票を投じるよう強く要請します。また、櫻野泰則取締役会長、住友林業出身の佐藤健取締役、指名・報酬諮問委員会委員長の岡田茂社外取締役の再任議案への反対を求めます。

オアシスの株主提案へ賛成票を投じましょう

1株当たり160円を配当(現在は130円)

熊谷組の中期経営計画によると、2024年3月期には157億円だった経常利益は2027年3月期までに300億円に倍加するとのことです。しかしながら、ROE目標は長年掲げられていた12%から10%に引き下げられています。経常利益の増加を掲げておきながら、ROE目標はむしろ引き下げるという矛盾した計画立案は、経営陣が資本効率性の改善に積極的でないことを示していると言わざるを得ません。今後、経常利益が倍増し、しかも、現時点での自己資本比率が同業他社と同等かそれ以上の水準の自己資本比率の状況においては、むしろ、資本効率性の向上に注力すべきです。

熊谷組の競合他社は、現状の熊谷組よりも高いDOEに基づいた配当方針としているか、または、より高い配当性向を掲げています。例えば、大林組はDOE 5%を基準として配当額を決定していますし、東急建設はDOE 4%としています。また、安藤ハザマおよび、西松建設は配当性向を70%以上としています。にもかかわらず、熊谷組が現在予定している配当は一株当たり130円です。これは、純利益が大幅に減少していた状況から回復する途上にある2024年3月期において、配当性向は67%となりますが、DOEではわずか3.1%の水準と、同業他社を大きく下回ります。

熊谷組は、一株当たりの配当額を最低160円とすべきです。同社の配当方針は、配当性向50%以上または、DOE 4%以上から算出される配当額のいずれか高いほうとすべきです。そのような配当方針の場合、2024年3月期末ベースでの一株当たり純資産が4,185円であって、会社予想の一株当たり純利益が192円であることを鑑みれば、同社の一株当たりの配当額は少なくとも160円となります。これは、配当総額にして約69億円であり、2024年3月期末の83億円の純利益を計上した熊谷組にとって十分達成可能であり、継続可能な水準です。配当方針を改善し、引き続き自社株買いを継続的に行った際には、同社の株価は、5,200円を優に超えることができるでしょう。

オアシスの株主提案に対する同社の反対理由は信用し難いと考えています。熊谷組の取締役会はオアシスの増配提案へ反対決議し、その理由として、完成工事未収入金が増加し自己資本比率が38.5%に低下していることを主張しています。しかし、自己資本比率の低下は、バランスシートマネジメントの失敗が根本原因で、売掛金の増加はあくまで一時的な要因にすぎません。住友林業株をはじめとする持合い株の売却や投資持分の解消、有利子負債の削減によって、同社の自己資本比率は45%以上の水準を達成することが容易に可能なはずです。加えて、熊谷組の新中期経営計画における自己資本比率の目標値45%は、35~40%を目標とするような競合他社よりも高いと言わざるを得ません。熊谷組は自己資本比率45%の達成を、同社の消極的な株主還元の口実としているようにさえ映ります。

1株当たり160円の配当は総額にして13億円の追加に過ぎず、必要に応じて投資予算を少し調整することにより十分賄える金額です。前中期経営計画では、2023年3月期までに毎年70億円の投資収益を上げる計画でした。しかし、同社は2022年3月期から2024年3月期までの3年間の総額で4億円の収益を上げただけにすぎませんでした。今回の中期経営計画では、400億円の追加投資により、先行投資分を含めて3年分の累計で40億円の収益を上げるとしていますが、前中期経営計画で2.5%の投資収益率しか達成できなかったことを考えると、非常に非現実的な目標を掲げているというほかありません。

熊谷組がリターンの低い投資にこれ以上資本を浪費し続けることを看過すべきではなく、株主の皆様におかれましては、同社の株主還元を改善させるべくオアシスの提案議案に賛成票を投じていただきますようお願いいたします。なお、現在の配当予定額が一株当たり130円であり、十分に強固なバランスシートを有していることや、同社の収益性を踏まえると、オアシスが提案している一株当たり160円の配当はむしろ控えめな提案といってもいいくらいです。

会社提案である櫻野氏、佐藤氏、岡田氏の再任に反対票を投じましょう

オアシスは株主の皆様に対し、取締役会長の櫻野泰則氏、佐藤建氏、および住友林業の特別顧問で熊谷組の指名・報酬諮問委員会の委員長を務める岡田茂氏の再任に反対することを推奨いたします。

現取締役会長の櫻野氏は、代表取締役社長を務めた2018年4月から2024年3月の在任期間中、熊谷組のステークホルダーを裏切り続けてきました。

  • 2022年3月期から2024年3月期の中期経営計画の期間中、経常利益は目標の330億円に対し、130億円にとどまり、目標未達となった。
  • 2024年3月期の営業利益および純利益は、それぞれ期初会社計画値を16.8%、20%と大幅に下回った。
  • ROEは櫻野会長就任の前年度の15.27%から直近では4.6%まで低下しており、前中期経営計画で予想されていたROE 12%を大幅に下回った。
  • 熊谷組も認めている通り、同社が行った投資は企業価値の毀損を招いた。前中期経営計画の期間中に170億円の投資を行ったのに対してリターンは3年累計で4億円にとどまり、投資収益率はわずか2.4%と、資本コスト5.7%の半分未満となった。

オアシスは株主の皆様に対し、佐藤建氏の再任に反対票を投じることを推奨いたします。佐藤氏は住友林業の元取締役で、現在は熊谷組の特別顧問を務めています。住友林業との資本提携は十分な成果を生み出せていません。両社間の株式の持合いは住友林業にとっては利益となりましたが、熊谷組にとっては何ら目に見える利益をもたらしておらず、資本の無駄遣いでしかありません。オアシスは、佐藤氏の取締役での任命が熊谷組に利益をもたらすとは考えていません。

  • 住友林業との資本提携は意味のあるシナジーをもたらしておらず、新中期経営計画の期間中においてもシナジーを生み出せると判断できるだけの材料はない。
  • 佐藤建氏は住友林業の取締役を退任したものの、引き続き住友林業の特別顧問として報酬を受け取っている。熊谷組は他のファンドと比較することなく住友林業が運用する海外不動産ファンドへと投資を実行しており、この背景には佐藤氏の存在が大きかったと考えられ、これは重大な利益相反と言える。
  • 佐藤氏の主たるスキルである総務・事務管理は、同じく取締役を務める日髙功二氏と重複しているため、佐藤氏を任命することによる付加価値はない。
  • 住友林業との資本提携に関する責任者は代表取締役の岡市光司氏であり、佐藤氏は資本提携の担当責任すら務めていない。

オアシスは株主の皆様に対し、熊谷組の指名・報酬諮問委員会の委員長を務める岡田茂氏の再任に反対票を投じることを推奨いたします。

  • 岡田氏は、櫻野氏の社長在任期間中に掲げていた目標が未達で終わったにもかかわらず、櫻野氏の取締役再任を繰り返し承認している。
  • 岡田氏はまた、住友林業との資本提携は十分な成果を生み出せていないにもかかわらず、住友林業の特別顧問として利益相反関係にある佐藤氏の取締役再任も承認している。

熊谷組は、自ら設定した目標の達成に失敗し続けています。同社が新中期経営計画の目標を達成できるだろうと安心感を与えるような変化を、株主は未だ確認できていません。熊谷組には劇的な変化が必要であることから、オアシスは株主の皆様に対して、熊谷組の取締役会が改善することなく繰り返している経営上の過ちや不適切な資本配分に関する責任を追及することを求めています。

オアシスは熊谷組に対し、経営陣が説明責任を果たすこと、すべての株主を平等に扱うこと、および株主還元を向上させることに取り組むよう、強く求めます。

オアシスはまた、株主の皆様に対し、オアシスによる株主提案に賛成票を投じることで熊谷組の経営陣に対して資本効率の重要性を強調するとともに、2024年6月開催の第87期定時株主総会において、櫻野泰則氏、佐藤健氏および岡田茂氏の再任に反対票を投じることを推奨いたします。

***

オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドは、さまざまな国やセクターにわたる幅広いアセットクラスの投資機会にフォーカスしている投資ファンドです。オアシスは、現在最高投資責任者 (CIO) を務めるセス・H・フィッシャーによって2002年に設立されました。オアシスに関する詳しい情報は、https://oasiscm.comをご覧ください。オアシスは日本の金融庁の「責任ある機関投資家の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)」を遵守し、この原則に沿って投資先企業のモニタリング及び、エンゲージメントを行っています。

本プレス・リリース(以下「本リリース」)の情報は、熊谷組の株主であるファンドの運用会社であるオアシスが、熊谷組の株主の皆様への情報提供を目的とするものです。本リリースは、株主の皆様に対して、 オアシスと共同で議決権を行使することを勧誘あるいは要請するものではありません。そのような共同行動をとる株主は大量保有の状況等に関する開示制度の共同保有者とみなされ、共同保有者は一般への情報開示のために合算した保有株式数を関係当局に報告しなければなりません。オアシスは、そのような共同保有者としての報告義務を発生させる一切の行為を行わないことをご了承ください。本リリースは、熊谷組の第87期定時株主総会のみに関連するオアシスの意見を記載したものです。

Contacts

メディア・コンタクト
メディアの方はこちらにご連絡ください:
テイラー・ホール
media@oasiscm.com

Oasis Management Company Ltd.

TOKYO:1861

Release Versions

Contacts

メディア・コンタクト
メディアの方はこちらにご連絡ください:
テイラー・ホール
media@oasiscm.com

More News From Oasis Management Company Ltd.

オアシスが小林製薬のために取締役を提訴した株主代表訴訟の 第1回口頭弁論期日が2025年10月14日に開催

香港--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッド(以下「オアシス」)は、製薬会社であり食品製造会社である、小林製薬株式会社(以下「小林製薬」又は「同社」)(証券コード:4967)の株式を 10.1%以上保有するファンドの運用会社です。オアシスは、小林製薬の第2位の大株主、そして最大の機関投資家株主として、被害者への補償、紅麹事案の根本的な原因の究明及び再発防止のために小林製薬のコーポレート・ガバナンスを改善すべくエンゲージメントを加速してまいりました。 本日、紅麹事件における取締役に対する責任の追及を目的として、オアシスが小林製薬のために提起した、株主代表訴訟(以下「本訴訟」)の第1回口頭弁論期日が予定されています。オアシスは、本訴訟が小林製薬における機能不全に陥ったコーポレート・ガバナンスを正すとともに、取締役らの諸義務の違反により小林製薬が被った少なくとも135億円の損害を回復する一助になると考えています。 小林製薬の紅麹事件の概要 紅麹事件は、小林製薬が製造・販売した紅麹関連製品(以下「本件製品」)によって発生し...

オアシスによる株式会社りそなホールディングスとの株式会社デジタルガレージ株式譲渡合意に関するお知らせ

香港--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- オアシス・マネジメント・カンパニーリミテッド(以下その運用するファンドと総称して「オアシス」または「弊社」といいます)は、株式会社りそなホールディングス(以下「りそなHD」といいます)に対し、保有する株式会社デジタルガレージ(以下「デジタルガレージ」といいます)の全ての株式の譲渡(以下「本取引」といいます)について本日合意いたしましたので、発表いたします。 オアシスは、デジタルガレージが決済事業や投資事業において有する競争優位性や事業拡大の余地に着目し、2020年来、デジタルガレージに対し投資を行ってまいりました。本日時点でオアシスの保有するデジタルガレージ株式は8,520,200株であり、議決権比率にして約18.6%に相当します。オアシスは投資期間中、デジタルガレージの企業価値向上を目指して、デジタルガレージ経営陣へのエンゲージメントを行って参りました。 この度、オアシスはりそなHDより、オアシスの保有するデジタルガレージ株式を買い受けたいとの申し出を受け、本取引に合意いたしました。りそなHDはデジタルガレージと既...

オアシスはクスリのアオキの社長及び副社長の解任を引き続き求める (証券コード:3549 JT)

香港--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッド(以下「オアシス」といいます。)は、株式会社クスリのアオキホールディングス(3549 JT)(以下「クスリのアオキ」、「アオキ」または「同社」といいます。)の株式を約9.1%保有するファンドの運用会社です。オアシスは「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》を遵守しており、この原則に沿ってオアシスは投資先企業のモニタリングとエンゲージメントを行っております。 アオキの長期株主であるオアシスは、アオキの株主に対し、2025年8月に予定されている定時株主総会において、長期間にわたり少数株主の利益がないがしろにされていることに対して、アオキの指導的立場にいる青木宏憲社長及び青木孝憲副社長(以下「青木兄弟」といいます。)に対して責任を負わせることを要請いたします。 アオキの2023年の定時株主総会以来、オアシスはアオキの株主に対して、青木兄弟に率いられたアオキのガバナンス体制、そして特に、青木兄弟に対して発行された本ストック・オプションに対する異議を表明す...
Back to Newsroom