ヘンケルとクイックステップが航空機・ヘリコプター向けのベンゾオキサジン部品とOoA製造プロセスの研究について発表

高温アプリケーション向けの複合材料

BZ 9130 樹脂を使用して製造したハット型補強材付き曲面パネルデモンストレーター. (写真:ビジネスワイヤ)

上海--()--(ビジネスワイヤ) -- 繊維強化ポリマー複合材料は航空機・ヘリコプター向けの耐高温部品で金属に取って代わるものとして関心が一層高まっています。こうした複合材部品を製造するための樹脂の選択肢が極めて制約されている中、ヘンケルとクイックステップはロックタイト・ベンゾオキサジン樹脂を分析しました。この樹脂はガラス転移点温度が高く、優れたホット/ウエット性能を持つだけでなく、室温で保管して容易に処理でき、エネルギー効率に優れ製造の便が高い脱オートクレーブ(OoA)プロセスを採用することができます。

樹脂注入成形(RTM)や真空補助樹脂注入成形(VARTM)などの液体樹脂プロセスは近年、その採用が急速に拡大しています。今後の航空宇宙分野の構造物でこれらのプロセスをさらに広範に採用したいというニーズが強くある理由としては、大型で複雑な部品を経済的に製造できるとともに、プリプレグ材料のオートクレーブ処理にかかる経費が不要となるからです。液体樹脂プロセスの利点にもかかわらず、市販されている樹脂システムには限界があり、一次構造と高温アプリケーションへと利用を拡大するには下記のような課題があります。

  • 強靱性
  • 高温性能
  • 注入条件
  • 注入温度における安定な粘性
  • プロセス中のコスト効率に優れた制御式の加熱・冷却

ヘンケルとクイックステップが実施した研究では、ベンゾオキサジン樹脂を急速加熱・冷却製造アプローチと併用し、サイクル時間を大幅に短縮して、高温耐性のある複合材ラミネート/部品を製造しました。重要な機械的強度特性を計測し報告しています。また本技法は曲面のある一体補強複合材パネルに適用し、本プロセスが航空宇宙分野のアプリケーション向けに最適な複合材部品を製造する能力のあることを実証しました。

高温性能向け材料

フェノール樹脂の化学特性と比較すると、ベンゾオキサジンは優れた難燃性と極めて小さい硬化収縮を示します。ベンゾオキサジンはフェノール樹脂とは対照的に、揮発性物質を放出することなく硬化し、硬化後の材料特性が著しく向上します。ヘンケルはプリプレグ、接着剤、注入プロセス向けに最適な商用ベンゾオキサジン・システムを数々投入しています。今回の研究では、Loctite BZ 9130 AERO樹脂を選定し、クイックステップの注入処理向けプロセスでキャラクタリゼーションを行いました。本樹脂の重要な特性は以下の通りです。

  • 室温での安定性(冷蔵保管の必要がない)
  • ワンパーツシステムであるため、プロセッサーによる混合の必要がない
  • プロセスウインドーが広く、大型部品や複雑形状に最適
  • 注入温度で安定な低粘性
  • 硬化中の発熱量が少なく、発熱リスクを低減
  • 高使用温度アプリケーション向けに高いホット/ウエット特性を保持
  • 強靱性が向上

環境適合性のある処理性能

プリフォーム樹脂注入技術がプリプレグとオートクレーブ処理を排除する上での主要目標となります。本技術単独で、事前含浸処理の必要性、冷蔵保管、特殊処理材料の廃棄をなくすので、メリットがあります。ラミネートとデモンストレーターの硬化には、クイックステップ・プロセスを採用しました。クイックステップ・プロセスは伝導加熱の原理に基づいています。このプロセスは熱伝導流体(HTF)を利用して熱と圧力をプロセス中に未硬化部品にかけます。硬化物質(繊維および樹脂)に対する熱エネルギーの急速な伝導が、本技術の核心です。

加熱流体とわずかに加圧されたクイックステップ・プロセス(最大0.8バール)により、迅速な昇温速度と効率的なエネルギー利用によって表面全体で必要な成型温度を正確に実現します。これにより、重合樹脂の物理・化学的特性に影響を与えることなく、硬化サイクルと滞留時間が改善されます。

選定樹脂の硬化反応速度特性、OoA硬化、プロセス中のオンライン温度モニタリングを組み合わせることで、ラミネート硬化を完了するための滞留時間が劇的に短縮されます。最終的に、本プロセスは製造プロセス中のエネルギー消費量を低減させます。さらに、連続生産に必要な鋳型が少なくて済み、機械稼働時間と保守の必要性などが低減し、経費が削減されます。

試作デモンストレーターの製造

本樹脂および注入・硬化技法の能力をフラットラミネートより大きな規模で実証するため、約1 m2のデモンストレーターパネルを事前に製作し、注入を施しました。このパネルはスキンプライ向け370 gsm 5HS炭素繊維5層から成り、スキン厚は2 mmで、リムーバブルマンドレルを利用して一連の4つのハット型、すなわちオメガ型の補強材を重ねました。この積層パネルは真空バッグ下でクイックステップの硬化チャンバーに入れ、注入と硬化を施しました。

有望な結果

Loctite BZ 9130樹脂の処理から、クイックステップ・プロセスにおいて「注入の便が高い」ことが実証され、ボイドフリーパネルを繊維量55~57%の範囲で製造できました。この範囲は繊維強化ラミネートとしては高いと見なされます。パネルの機械的特性の評価および品質の測定から、標準的なオーブンベースのVARTM処理と同等かそれ以上の値が確認されました。クイックステップ・プロセスはラミネートを急速に加熱・冷却し、注入プロセスにおいて均一な温度を達成しました。結果は、ヘンケルのベンゾオキサジン注入樹脂とクイックステップ・プロセス技術の相乗効果を実証しています。

ヘンケルとクイックステップは、10月中旬に米国オーランドで開催されたCAMXで本研究の全結果を発表しました。

詳細情報については当社のウェブサイト(www.henkel-adhesives.com/aerospace)をご覧ください。

本記者発表文の公式バージョンはオリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。

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