RMBキャピタルは株式会社オプトホールディングの監査等委員会設置会社への移行に反対を表明し、他の株主へ同調を呼びかけます

CHICAGO--()--RMB Capital:

  • RMBキャピタルは2005年に創業したシカゴを拠点とする資産運用会社です。当社は長期投資の観点から約5000億円の運用資産をグローバルの株式、債券等に投資しています。当社は個人富裕層、年金・大学基金等、長期投資方針を共有する安定的な顧客基盤を有しています。
  • 当社は2012年よりオプトに対する調査・投資を行っており、以来継続してオプトの友好的な株主です。当社は2015年11月時点でオプト株式の5%超を保有している旨大量保有報告書を提出しております。

背景:日本における3種類の取締役会制度について

(1) 監査役会設置会社(無委員会制度)
従来からある、日本独特の取締役会制度。監査役会が一定の内部チェック機能を担うものの、取締役会における議決権を持たないため、経営陣に対する十分な強制力を持たない。

(2) 指名委員会等設置会社(3委員会制度):当社がオプトに求めるシステム
独立社外取締役多数で構成される指名・報酬・監査の3委員会が設置され、経営陣が企業価値を高めるために最大限努力するよう監督し動機付けする。海外では広く普及しており、コーポレート・ガバナンス・システムとして標準的。

(3) 監査等委員会設置会社(1委員会制度):オプトの計画
昨年制度化された日本独特の制度。指名委員会等設置会社(3委員会制度)と異なり、事業判断の適正性・妥当性を検証する監査委員会のみ設置し、経営陣の人事・報酬権を持つ指名・報酬委員会は設置されない。したがって、経営陣に対する強制力が十分でない。

当社が監査等委員会設置会社への移行に反対する理由

1. 当社は、コーポレート・ガバナンスの核心とは、経営陣の選解任等の人事権を通じて経営陣が株主価値の向上に努めるよう担保することだと考えます。

  • 当社は、コーポレート・ガバナンス・システムは一定の強制力を基に経営陣を監督し、経営陣が株主利益の保護・拡大に努めるよう設計されるべきだと考えます。
  • しかし、残念ながら日本ではコーポレート・ガバナンスの目的が誤解され、単なる業務改善のための内部管理システムのように捉えられていることが多く、経営陣自らが監督の対象であるということが十分認識されていません。

2. 当社は、オプトの計画する監査等委員会設置会社(1委員会制度)は指名・報酬委員会を欠き、コーポレート・ガバナンス改善の方策としては極めて不十分であると考えます。

  • 当社は、指名・報酬委員会なしには少数株主利益の保護・拡大に努めるよう経営陣を十分に動機付けすることができないと考えます。
  • 一般的にも、もし従業員に自分自身の報酬と昇進を決めさせるような組織があれば、そのような組織は長期的は繁栄しないと言えます。同じことが経営陣にも当てはまると当社は考えます。

3. 当社は、オプトの少数株主は既に不利益を被っていると考えます。

  • オプトは買収防衛策(ポイズン・ピル)を複数年に渡り導入していました。同買収防衛策は昨年の株主総会で賛同比率が異例に低い55%にまで下がり、ようやく本年2月に廃止が決定されました。
  • オプトは約414万株(発行済株式総数の13.8%)の自己株式を消却しないまま、また、合理的な説明もなく保有し続けています。当社では、これほどの規模の自己株式が再度放出されれば、少数株主にとって深刻な不利益になると考えます。また、大量の自己株式の存在自体がオプトの株価を押し下げる要因になっていると考えます。
  • 株主資本以下に低迷する株価にも関わらず、また、十分な手元流動性があるにも関わらず、オプトは市場を通じた自己株式取得を行っていません。

4. 当社は、監査等委員会設置会社への移行は現行制度からの改悪にすらなりうると考えます。

  • 監査等委員会設置会社への移行に際し、従来の監査役がそのまま社外取締役として監査等委員に就任するという、いわゆる横滑りの人事がオプトを含め多くの企業で行われています。単に社外取締役の数をそろえるだけの安易な移行は慎むべきだと考えます。
  • 移行によってこれまで常勤だった監査役が非常勤となり、また、単独での調査権限がなくなるため、監査機能がかえって低下し、株主にとって不利益となる可能性があります。
  • 一方で、オプトにおいては移行後も引き続き社外取締役は全取締役8名中3名と過半数に満たないため、上記のような監査機能の潜在的低下と引き換えに議決権を付与することの効果に当社は疑問を持っています。

5. 当社は、コーポレート・ガバナンスが機能するよう努力することは経営陣の責務だと考えます。

  • オプトの3月9日付追加リリースにおいて、同社経営評価委員の岸田政雄氏は「しかし実務上では「指名等委員会」が実際に取締役(特に社長)を指名している例は 少なく、形式化していることは周知の事実であると思われます」と述べ、指名委員会等設置会社の有効性を否定しています。
  • しかし当社は、ガバナンス制度を形式化させず、株主利益の保護、拡大のために機能するよう不断の努力を行うことこそが経営陣に求められているのであり、初めからそのような努力を諦めるかのような議論は本末転倒であると考えます。ガバナンス制度が機能するよう努力することは経営陣の責務だと考えます。

当社の提案:指名・報酬委員会の導入

案1:定款を変更し、指名委員会等設置会社(3委員会制度)へ移行する

  • 当社は、指名、報酬、監査の3委員会が備わる指名委員会等設置会社への移行こそが、オプトのコーポレート・ガバナンス・システムにふさわしいと考えます。
  • 社外取締役多数で構成される指名・報酬両委員会が経営陣の人事権・報酬決定権を持つことにより、経営陣が株主利益の保護・拡大に努めるよう動機づけできると考えます。
  • 日本では、コーポレート・ガバナンスについて先進的な考えを持つ68社の上場企業が既に指名委員会等設置会社に移行しています。
  • コーポレート・ガバナンスについて先進的な取り組みをしている北米では、企業規模にかかわらず3委員会を設置することが上場企業に求められています。
  • オプトは既に3委員会(指名・報酬・監査委員会)を構成するのに十分な数の独立社外取締役候補がおり、指名委員会等設置会社への移行は十分可能だと考えます。

案2:取締役会決議により、任意の指名・報酬委員会を設置する

  • また、第2の案として、現行の監査役会設置会社のまま、任意に指名・報酬委員会を設置する方法も有力であると考えます。
  • 任意委員会は取締役会決議のみで設置可能で、株主総会の特別決議を求める定款変更を要しないため早期に導入が可能です。
  • 日本では既に428社の上場企業ががこのような任意委員会を追加設置する形でコーポレート・ガバナンスの改善を図っています。

当社は経営陣の計画に反対し、他の株主にも反対票を投じるよう呼びかけます。本移行計画を否決するためには三分の一(33.3%)超の反対票が必要であり、より多くの株主が投票することが不可欠です。

  • 1月の移行計画発表以降、当社は経営陣と数回にわたり協議を行い、計画を再考するよう求めてきました。しかしながら、経営陣は当社の提案を拒否し、来たる株主総会において関連議案を上程することを決定しました。
  • 上記のように、当社は経営陣の計画は少数株主の利益に沿わないと強く信じております。同計画を否決することによって、経営陣に改めて代替案を検討し、最適なコーポレート・ガバナンス・システムを確立するよう求めることができます。
  • 当社は、本年3月の株主総会が同移行計画を阻止する最後の機会だと考えます。オプトにおいては経営陣と電通グループが合計で発行済株式総数の40%超を保有しており、経営陣の意に沿わない再度の定款変更は事実上永久に不可能となります。上述の通り監査等委員会設置会社への移行は現行制度からの改悪になってしまう恐れがあり、経営陣の同意なしには元に戻したり指名委員会等設置会社へ移行することができないことは少数株主にとり大きな問題です。
  • 経営陣の提案を否決するためには、当社の保有分5%を含め3分の1(33.3%)超の反対票が必要です。これは少数株主にとって決して不可能な 数字ではありません。昨年の株主総会において、45%もの株主が買収防衛策に反対票を投じました。また、投票率(昨年度は発行済株式総数の71.5%)がより向上すれば移行計画が否決される可能性はさらに高まります。

補足:当社が委任状勧誘を行わない理由について

当社は、株主の皆様に対して、いわゆる委任状を勧誘したうえで、当社代理人弁護士が株主の皆様の代理人として本総会に出席し議決権を代理行使することも検討いたしました。しかしながら、平成28年3月9日、オプトから、本総会においては、株主でない弁護士による議決権の代理行使は認めないとの回答がなされました。一般的に、弁護士が株主の代理人として株主総会に出席し、議決権を代理行使することが会社側から拒絶されるケースは、株主総会が攪乱される可能性がある場合を除いて多くないと認識しており、今回の議決権代理行使を認めない会社側の対応は、株主の権利よりも経営陣の利益を志向した不当な対応に他ならないと考えております。

株主の皆様のご理解、ご支援を賜れば幸甚です。

以上

RMBキャピタル 日本株投資チーム
ポートフォリオ・マネジャー 細水政和

Contacts

本件に関するお問い合わせ先
株主の皆様:
松尾千代田法律事務所
弁護士 松尾明宏
rmb@matsuolawoffice.com
または
報道関連等の皆様:
RMBキャピタル日本株ポートフォリオ・マネジャー
細水政和
mhosomizu@rmbcap.com

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