武田薬品が初発多発性骨髄腫でニンラーロ(イキサゾミブ)を評価した第3相臨床試験の結果を発表

TOURMALINE-MM2のデータをバーチャル開催の第8回血液腫瘍学会(SOHO)年次総会で発表

米マサチューセッツ州ケンブリッジ & 大阪--()--(ビジネスワイヤ) -- 武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)(「武田薬品」)は本日、自家幹細胞移植非適応の初発多発性骨髄腫患者を対象としてレナリドミド+デキサメタゾンにニンラーロ(イキサゾミブ)を追加した併用療法をレナリドミド+デキサメタゾンにプラセボを追加した併用療法との比較で評価する第3相TOURMALINE-MM2試験の結果を発表しました。データはバーチャル開催の血液腫瘍学会(SOHO)学術大会にて2020年9月9日(水曜)の米国中部標準時午後6時15分に発表します。

本試験でレナリドミド+デキサメタゾン併用療法へのニンラーロの追加は、無増悪生存期間(PFS)中央値の13.5カ月の延長(ニンラーロ群35.3カ月に対してプラセボ群21.8カ月、ハザード比[HR] 0.830、p=0.073)をもたらしました。本試験は統計的有意性の閾値を満たさず、PFSの主要評価項目を達成しませんでした。

TOURMALINE-MM2の治験責任医師で筆頭著者のThierry Facon医師(MD、リール大学)は、次のように述べています。「プロテアソーム阻害薬をベースとする経口薬のみの治療選択肢で現在承認されているものはないため、初発の多発性骨髄腫では特別なニーズが存在します。TOURMALINE-MM2試験の結果は、この患者集団と、細胞遺伝学的に高リスクの患者を含む多くのサブグループにとって全体として重要なものです。当社はこれらのデータが、多発性骨髄腫のコミュニティーに対し、今後の研究と一層の発展のための情報を提供することに役立つものと期待しています。」

発表されるその他の評価項目には完全寛解(CR)率、全生存期間(OS)、無増悪期間(TTP)中央値が含まれます。本試験から得られたニンラーロの安全性プロファイルは、既存の処方情報と全般的に一致するものでした。

武田薬品Oncology Therapeutic Area Unitのヘッドを務めるクリストファー・アーレントは、次のように述べています。「当社はTOURMALINE-MM2試験から得られた結果が、プロテアソーム阻害薬ベースの経口薬のみから成り、生活の質を維持することに役立つ併用療法から利点を獲得し得る患者にとって特に、建設的な意見交換を促進し、今後の研究活動を前進させる上で役立つことを期待しています。当社は一企業として、多発性骨髄腫コミュニティーに引き続きコミットし、多発性骨髄腫維持療法として進行中の当社の第3相試験で成熟したデータを今後発表できるものと期待しています。」

メイヨー・クリニックの医師としてTOURMALINE-MM2試験の治験責任医師を務めたShaji Kumar医師(MD)が発表する重要な試験結果は、下記の通りです。

  • PFS中央値はニンラーロ群が35.3カ月、プラセボ群が21.8カ月であった(HR 0.830、p=0.073)。
    • 細胞遺伝学的に高リスクの拡大サブグループ(事前指定)におけるPFS中央値は、ニンラーロ群が23.8カ月、プラセボ群が18.0カ月であった(HR 0.690)。
  • 本試験の主な副次的評価項目であるCR率は、ニンラーロ群が26%、プラセボ群が14%であった。
  • OSフォローアップ期間の中央値はニンラーロ群が57.8カ月、プラセボ群が58.6カ月であり、フォローアップ後にいずれの群でもOS中央値は未到達であった(HR 0.998)。
  • TTP中央値はニンラーロ併用群の方がプラセボ群より長く、ニンラーロ群が 45.8カ月、プラセボ群が26.8カ月であった(HR 0.738)。
  • 安全性のデータ:
    • 治療下で発現した有害事象(TEAE)を経験したのはニンラーロとレナリドミド+デキサメタゾンの投与を受けた患者の96.6%、プラセボとレナリドミド+デキサメタゾンの投与を受けた患者の92.6%であった。
    • ニンラーロ群で臨床的に重要なTEAEとして最も多く発現した症状は、下痢、発疹、末梢浮腫、便秘、悪心であった。
    • グレード3以上のTEAEを経験したのはニンラーロ群の患者の88.1%、プラセボ群の患者の81.4%であった。
    • TEAEの大半は治療を中止せずに管理され、TEAEがレジメン中止につながったのはニンラーロ群が35%、プラセボ群が26.9%であった。
    • 試験中に生じた死亡の割合はニンラーロ群が7.6%、プラセボ群が6.3%であった。

多発性骨髄腫研究財団(MMRF)の理事長兼最高経営責任者(CEO)であるポール・ジュスティ氏は、次のように述べています。「TOURMALINE-MM2のような研究から得られる洞察の結果は、自宅で受けられる治療選択肢の利便性から利点を受ける可能性がある患者にとって特に重要です。これらの極めて重要な知見により、多発性骨髄腫のコミュニティーは、患者と医師が利用できる各種の併用療法を包括的に評価することが可能となります。」

ニンラーロは現在、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用で、過去に少なくとも1種類の治療を受けている多発性骨髄腫患者の治療薬として65カ国以上で承認を受けています。ニンラーロは初発の多発性骨髄腫に対する治療薬としては承認されていません。

TOURMALINE-MM2試験について

TOURMALINE-MM2は、移植の候補者となっていない初発多発性骨髄腫の成人患者705人で、ニンラーロ(イキサゾミブ)にレナリドミド+デキサメタゾンを加えた併用療法を、プラセボにレナリドミド+デキサメタゾンを加えた併用療法と比較評価するようデザインした国際ランダム化二重盲検多施設プラセボ対照第3相臨床試験です。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)です。主な副次的評価項目は完全寛解率(CR)、疼痛反応、全生存期間(OS)です。詳細情報についてはhttps://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01850524をご覧ください。

多発性骨髄腫について

多発性骨髄腫は生命を脅かす希少な血液がんで、骨髄で産生される白血球の1種である形質細胞に由来して発症します。これらの形質細胞は異常性を示し始め、増殖し、パラプロテインとして知られる1種の抗体を産生し、これが骨痛、頻回ないし再発性の感染症や疲労、貧血症状など、本疾患の症状を引き起こします。これらの悪性形質細胞は体内の多くの骨に影響を及ぼす潜在力があり、骨・免疫系・腎臓・赤血球数に数多くの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。典型的な多発性骨髄腫の疾病経過には、症候性骨髄腫の期間とその後の寛解期が含まれます。世界では約23万人が多発性骨髄腫を抱えて生活しており、世界で毎年約11万4000例が新規に診断されています。

ニンラーロ(イキサゾミブ)カプセルについて

ニンラーロ(イキサゾミブ)は経口プロテアソーム阻害薬として、多発性骨髄腫の連続的治療過程を対象に研究されています。ニンラーロは2015年11月に初めて米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得し、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用で、過去に少なくとも1種類の治療を受けている多発性骨髄腫患者の治療を適応としています。ニンラーロは現在、米国、日本、欧州連合を含む65カ国以上で承認されており、規制当局への申請9件が審査中です。ニンラーロは経口プロテアソーム阻害薬として初めて第3相臨床試験に入り、承認を取得しました。日本では、ニンラーロは自家幹細胞移植を受けた多発性骨髄腫患者での維持療法として承認されており、幹細胞移植非適応の患者での維持療法を申請しました。

ニンラーロ(イキサゾミブ):重要な安全性情報(世界向け)

特別な警告および注意

血小板減少症がNINLAROで報告されています(ニンラーロおよびプラセボの各レジメンでそれぞれ28%および14%)。血小板のナディアは一般的に28日サイクルのそれぞれで14日~21日目に出現し、次のサイクルの開始までにベースラインまで回復しました。報告された症例は出血イベントの増加または血小板輸血に至っていません。ニンラーロ治療中は血小板数を少なくとも月1回モニタリングし、最初の3サイクルではさらにモニタリング頻度の増加を検討します。標準治療ガイドラインに従い、投与量の変更および血小板輸血により血小板減少症を管理します。

消化管毒性がニンラーロおよびプラセボの各レジメンで報告されています。毒性は下痢(42%および36%)、便秘(34%および25%)、悪心(26%および21%)、嘔吐(22%および11%)などで、制吐薬や下痢止め薬の使用、および支持療法が必要となる場合がありました。

末梢神経障害がニンラーロで報告されています(ニンラーロおよびプラセボの各レジメンでそれぞれ28%および21%)。最も多く報告されている反応は末梢感覚神経障害(ニンラーロおよびプラセボの各レジメンでそれぞれ19%および14%)です。末梢運動神経障害の報告はいずれのレジメンでもまれでした(1%未満)。末梢神経障害の症状につき、患者をモニタリングし、必要に応じ投与量を変更します。

末梢性浮腫がニンラーロで報告されています(ニンラーロおよびプラセボの各レジメンでそれぞれ25%および18%)。根本原因につき患者を評価し、必要に応じ支持療法を実施します。症状が重い場合、処方情報に従ってデキサメタゾンの投与量を、またはニンラーロの投与量を変更します。

皮膚反応が発現した患者の割合はプラセボレジメンで11%であったのに対し、ニンラーロレジメンで19%でした。いずれのレジメンでも最も多く報告された発疹の種類は斑点状丘疹と斑状発疹でした。支持療法、投与量変更、投与中止により発疹を管理します。

血栓性微小血管障害:血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)や溶血性尿毒症症候群(HUS)を含め、場合によっては致命的な血栓性微小血管障害がニンラーロ投与患者で報告されています。TPP/HUSの兆候や症状につきモニタリングし、TPP/HUSが疑われる場合はニンラーロ投与を中止します。TPP/HUSの診断が除外された場合、ニンラーロ投与の再開を検討します。TPP/HUSを経験している患者でニンラーロによる治療を再開した場合の安全性は不明です。

肝毒性:薬物性肝障害、肝細胞障害、肝脂肪変性、胆汁うっ滞性肝炎がニンラーロ投与患者でまれに報告されています。肝酵素を定期的にモニタリングし、グレード3ないし4の症状の場合は投与量を変更します。

妊娠:ニンラーロは胎児に害を及ぼす場合があります。生殖能力を持つ男女の患者に対し、治療中およびニンラーロの最終投与からさらに90日間は避妊法を用いるように助言します。ニンラーロは胎児に害を及ぼす可能性があるため、出産可能な女性は、同薬服用中は妊娠を避ける必要があります。ホルモン性避妊薬を使用している女性は、さらに別の避妊法を用いる必要があります。

授乳:ニンラーロないしその代謝産物がヒト母乳中に排泄されるかどうかは不明です。乳児に有害事象が発現する可能性があるため、授乳は中止する必要があります。

特定の患者集団

肝障害:中等度から重度の肝障害を持つ患者ではニンラーロの投与開始量を3 mgに減らします。

腎障害:透析を必要とする重度の腎障害または末期腎疾患(ESRD)を持つ患者ではニンラーロの投与開始量を3 mgに減らします。ニンラーロは非透析性であるため、透析のタイミングとは無関係に投与可能です。

薬物相互作用

強力なCYP3A誘導薬とニンラーロの併用は推奨されません。

有害反応

ニンラーロレジメンで最も発現頻度が高く(20%以上)、プラセボレジメンよりも多く報告された有害反応は下痢(42%対36%)、便秘(34%対25%)、血小板減少症(28%対14%)、末梢神経障害(28%対21%)悪心(26%対21%)、末梢性浮腫(25%対18%)、嘔吐(22%対11%)、背部痛(21%対16%)でした。患者の2%以上で報告された重篤有害事象には血小板減少症(2%)と下痢(2%)が含まれます。それぞれの有害反応につき、ニンラーロレジメンの患者で3種類の医薬品のうち1種類以上を中止した割合は1%以下でした。

欧州連合向け製品特性概要:http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/EPAR_-_Product_Information/human/003844/WC500217620.pdf

米国向け処方情報:https://www.ninlarohcp.com/pdf/prescribing-information.pdf

カナダ向け製品モノグラフ:http://www.takedacanada.com/ninlaropm

武田薬品のオンコロジー領域に対する取り組み

当社の研究開発上の中核的使命は、科学に対する傾倒、画期的イノベーション、患者の生活改善への熱意を通じ、世界中のがん患者に新規医薬品を届けることです。当社の血液疾患治療薬、充実したパイプライン、固形腫瘍治療薬のいずれにおいても、当社は患者に必要な治療を届けるべく、革新的であるとともに競争力のある立場の保持を目指しています。詳細情報についてはwww.takedaoncology.comをご覧ください。

武田薬品工業株式会社について

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。

詳細については、https://www.takeda.comをご覧ください。

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