東京--(BUSINESS WIRE)--（ビジネスワイヤ） -- 東芝は、今年1月にサンプル出荷を開始した画像認識用プロセッサViscontiTM4「TMPV7608XBG」で採用した新技術を、米国サンフランシスコで開催された半導体国際学会ISSCC2015（International Solid-State Circuits Conference）において、2月25日（現地時間）に発表しました。本製品は1.9TOPS注1（毎秒1.9兆回の演算）という高い演算性能を持ち、色の傾向を表す4種類の特徴量を組み合わせて画像認識を行うことにより、低照度時の認識性能を強化し、夜間の歩行者などに対して高い認識性能を実現しています。
本製品では画像認識においてニーズが高まっている浮動小数点演算処理が可能な8個の画像処理エンジン（MPE:Media Processing Engine)と、今回新しく開発した認識用アクセラレータを含む14個の各種画像処理アクセラレータを搭載するヘテロジニアス構成注2を取ることで、最大1.9TOPS注1という高い処理性能を3.37W注3という低消費電力で実現しています。
本製品に搭載する画像認識用アクセラレータは、従来製品で対応していた当社独自の画像特徴量である輝度勾配方向共起ヒストグラム：CoHOG注4だけではなく、色情報に関する色勾配方向共起ヒストグラム：Color-CoHOG注4、エッジ直交方向色差分共起ヒストグラム：CoHED注5、直線方向色差分共起ヒストグラム：CoHD注6、二次カラーヒストグラム：Color Histogramといった4種類の特徴量の処理を追加しています。これらの特徴量を組み合わせて画像認識することにより、夜間など背景と対象物の輝度差が少ない画像に対しても高い認識性能を実現しています。従来搭載していなかった色情報での識別が可能な画像認識用アクセラレータを2つ搭載し、アクセラレータの処理性能を向上することにより、4種類の特徴量を組み合わせて画像認識処理を行った場合においても、それぞれの画像認識用アクセラレータで、従来比4倍の認識処理速度を実現し、より多くの種類の物体を短時間に認識することを可能にしています。
本製品では、上記で述べた画像処理能力の向上により、1チップで一般障害物検知、赤信号認識、車線逸脱警報・車線維持支援、車両および歩行者の衝突警報・回避支援、対向車ヘッドライトや先行車テールランプ検知によるハイ・ロービーム切替え支援、標識認識といったアプリケーションを同時に処理することを実現しています。
近年、より安全で快適なクルマ社会を目指し、先進運転支援システム（ADAS：Advanced Driver Assistance System）の重要性がより高まってきており、将来的には自動運転のニーズが高まっていくことが見込まれています。また、2018年に欧州で施行予定の新車安全性能評価「Euro NCAP（New Car Assessment Programme）」では昼夜における歩行者衝突回避に対しても評価が行われる予定であり、高い認識性能をもった画像認識プロセッサが求められています。今後の先進運転支援システムに求められるアプリケーションは、ますます増えていくことが予想され、処理性能の向上が期待されています。
当社は車載向け画像認識プロセッサにおける様々なニーズに対応するため、今後も技術開発を進めるとともに、本製品を含めたVisconti™シリーズを積極的に展開し、より安全で快適なクルマ社会の実現に向けて貢献していきます。
注1 TOPS：Tera operations per second
注2 異種のコアによる構成
注3
画像処理エンジン（MPE）および各種アクセラレータの消費電力
注4 CoHOG: Co-occurrence histograms
of oriented gradients
注5 CoHED: Co-occurrence histograms of pairs
of edge orientations and color differences
注6 CoHD: Co-occurrence
histograms of color differences
